大会名:2019 Cyclo-cross World Championships
開催地:デンマーク Bogense(ボーゲンセ)
カテゴリー:Men U23
リザルト:59位(-2LAP)
自分にとって3度目となるシクロクロス世界選手権
12月の全日本選手権終了後に出場内定を頂き、世界のトップ選手と同じ場所で戦える楽しみと、自身初めてとなるU23カテゴリーにおいてはたして自分の力がどこまで通用するのか、大きな不安を抱きながら、約1か月半の準備をしてきた。
今年はJAPANチームが再編成され、三船監督を中心に新たなチームでのチャレンジである。
三船監督はヨーロッパでの経験が豊富なため、出発前から色々とアドバイスを頂いた。
例年であれば世界選手権1週間前にオランダで行われるワールドカップ(Hoogerhide)へ出場し、その後世界選手権に挑む流れだが、今回は渡航費用などの関係で世界選手権のみの出場となった。
1月28日(月曜日)に松山空港から成田入りして前泊。バイク2台は事前に空港専用宅配便のQLライナーで成田空港に配送済みであったため、スーツケースとリュック一つで成田まで移動。バイクは父が出発前に全てのケーブル類交換、ディレイラーの分解清掃、ベアリング部のグリスアップ、チェーン交換、バーテープ巻き直しと、完璧な状態に整備をしてくれていた。
また、今回購入したバイク収納バッグ(EVOCバイクトラベルバッグ)は収納量も多くとてもスマートにパッキングすることができ、予備ホイールも多く(ホイール数合計7セット)持参することができた。
翌29日(火曜日)に日本代表チームが成田空港ロビーに集合し、今回はフィンライド経由でデンマークに向かい、その日の夕方にはデンマーク・コッペンハーゲンに到着。とても美しい街であった。
ホテルで1泊して翌日は大会指定のホテルがあるオーデンセへ車で2時間ほど移動し昼に到着。
バイクを組み上げて日が暮れないうちに軽くロードトレーニングへ行った。気温は2度前後と日本とはあまり変わらないが、雲が多く日照が少ないことから体感温度は低く感じた。
毎回のことであるが、短期間のヨーロッパ遠征では時差ボケがひどく、レースまでの3日間で少しでも体を慣らそうと努めた。
食事はホテルでのバイキング形式であったが、タンパク質をとることで体に食事のサイクルを作ることができると聞いていたため、タンパク質を中心にバランスよく、食べ過ぎに注意して摂った。
また、同じホテルにベルギーチームとアメリカチームが泊まっていたことから、世界チャンピオンの食事を知ることができた。
翌日(木曜日)の午後にコースに入り試走を行う。
ホテルからレース会場までは車で40分ほどかかり、少し遠い。
最初はゆっくりとしたペースでコース全体のイメージを掴むように走り、慣れてくると平地で少し心拍数が上がる程度にインターバルを入れた。
コースを走った最初の感想は『関西シクロクロスのコースに似ている』ということだった。
平坦基調で直線が長くキャンバー区間はスチールの森日吉と似ていた。ただ土質が違い、気温の変化で大きく変わることが考えられた。この日は気温が低く昼でも土はところどころ凍っていた。
キャンバーを縦に下るところやフライオーバーの下りはリム打ちのリスクが高く、直線も長いことから空気圧は低くし過ぎないセッティングとした。また、直線区間は長く風もあることから、レース中はパックで走ることをイメージした。
【レース前日】金曜日
午前に試走を行い午後は体を休めた。また、試走中は前日より軽めに走り、怪我をしないよう注意した。寒いことから体力を奪われないよう暖かい恰好をし、試走の時間も短めにした。
体にもバイクにも問題はなく、タイヤのセッティングも決まりあとは気持ちの準備をするだけだ。
【レース当日】土曜日
朝はジュニア選手のレーススタート時間に合わせホテルを出発。
朝の試走は行わず、ジュニアのレースの後の試走まで待機した。チームボックスには貨物のコンテナが改造されたプレハブのようものが置いてあり、雨風をしのぐことができた。
この日は風が強く天気もあまりよくないことから体感気温はとても低い。
ジュニアの試走具合からコース状況は少しマッドに傾いているが、セッティングの変更をするほどではないと判断した。
ローラー台でアップをしながらスマホでジュニアのレースを観戦。ラップタイムを見てU23のレース周回を予想した。
ジュニアのレース後に試走に行くと前日より表土の下の土が出て滑りやすくなっている。表面の土は柔らかいが、その下の土が固く2層になっている。タイヤの変更も考えたが変更はせず、レース中に状況に応じて変えることにした。(結果としてはタイヤを変えなくてもラインを少し変えることで問題はなかった。)
【スタート】
アップはいつもより早めに始め、少しでも体温を上げることを心掛け、20分前にはスタートエリアに行きストレートで1,2本ダッシュで刺激を入れた。
スタート位置は前から5列目右側。
最初のコーナーはイン側になる形でスタートした。全体的に思ったほどスピードにはのらず、最初のコーナーは多くの選手が慎重に曲がっている気がした。
その後のロングストレートで集団が伸びだんだんとパックになっていった。スピード域が高くU23のヨーロッパでのレース経験がないことから、対応することができず順位を落としてしまう。
今回のレースは8周回であることが表示され、最低限の目標である同一周回完走を目指す。
しかし、その後も流れをつかむことができず、レースが進んでいくにつれて先頭との差が開いていくばかり。
さらに、今回初めて着用したウエアのサイズがあっておらず、腹部周りにできた隙間から風が入り、みるみるうちに体力を奪われた。(ウエアは全日本選手権終了後に採寸し製作してもらったセミセパレートのワンピースジャージであったが、なぜか自分にはサイズが合っていなかった・・・)。防寒対策にインナーを2枚着ていたが、風を遮る生地ではなかったためあまり意味をなさなかった。
3周回目の途中でフロントギア側のチェーンを落としてしまい、ロスを取り戻すのに時間がかかってしまう。
この頃になると、攻めたいところでもうまく体に力が入らず走りに集中できない。おなかが冷え内臓まで冷えてくるのを感じ腹痛が出る。呼気が冷たく感じ、心肺機能も苦しくなる。前の選手について走るがペースが合わず、もう一つ前の選手を追うことが何度かあった。
苦しい状況が続き、7周回目に入る前にレースを降ろされた。(シクロクロス競技は先頭からある程度のタイム差が開くと、次の周回に入れないルールがあります)
走りながら自分でもトップとのタイム差は確認していたので、そろそろ降ろされるかと思ったタイミングではあった。
正直苦しすぎる状況だったためここでレースが終わることに救われた思いがしたが、一番は自分の力不足を痛感した。
レース中の、「~していたら。」「~であれば。」ということは多くあるが、今の自分の全てをぶつけることはできたと感じた。
寒さは予想以上で防寒対策を考えると同時に、ウエア選択には今後うまく付き合っていくことが大切だと考えた。
今回のコースだけでいえることではないが、まだまだ基本的な走力のレベルが低いと分かったので、マウンテンバイクシーズンでもロードでのトレーニングを多めに取り入れたい。
今回のレースは自分が目標としていた結果を残すことができず残念であったが、これからも世界の舞台で挑戦し続けていきたいと改めて思った。
このレースでの悔しさや経験を忘れることなく今後も世界で戦うことを意識していきたい。
最後になりましたが、同行頂いたJAPANチームのみなさま、現地で手厚いサポートをしていただいたランジットさん、イフさん、マークさん、本当にありがとうございました。
また、後援会をはじめ、世界選手権出場のための応援カンパを企画してくださいました上野サイクル様、高知シクロクロス様ほか、ご協力いただいた皆様に感謝いたします。頂いた支援金は今回の世界選手権大会出場のための連盟への個人負担金20万円と、その他必要な機材の準備費等に使わせて頂きました。ありがとうございました。
次回出場するシクロクロスレースは2月17日の「さぬきシクロクロス」です。今シーズン最後のレースとなりますので、皆さんと会場でお会いできることを楽しみにしています。
Photo:Nobuhiko Tanabe
使用機材
バイク:SPECIALIZED CRUX ELITE
コンポネート:SHIMANO ULTEGARA
ペダル:MAVIC CROSSMAX
ホイール:NEXTIE カーボンチューブラー
タイヤ:A.DUGAST タイフーン 32mm
空気圧:前後1.5 bar
ギア:F 42T / R 32T-11T