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シクロクロス全日本選手権を終えて(事務局)

 新型コロナウイルスの影響により多くの大会が中止となる中、2020シクロクロス全日本選手権が主催者ほか関係各位のご尽力により無事開催されました。まずは多くの皆様のご努力により本大会が開催されましたことに敬意を表します。


 このシクロクロス全日本選手権に私たちファミリーチームが最初に出場したのが、功太郎が高校一年生の時の2016年宇都宮大会。以来、2017野辺山、2018マキノ、2019内子、そして今回の2020飯山が5度目の全日本選手権


 マウンテンバイクをメインに活動する長男功太郎と、ロードレースをメインに活動する次男裕二郎ですが、このシクロクロス競技においては、どれだけ自分の実力を試すことができるのか、そんな位置付けで取り組んできました。


 ロードレースやマウンテンバイクとは違い、シクロクロスはレース中に機材のトラブルや泥付きによりピットで自転車の交換が必要となることから、選手一名に対して2台の自転車を準備する必要がありますが、2000年生まれの功太郎と2003年生まれの裕二郎の二人が同時に出走するレースはこれまでほとんどなく、功太郎が1号機、裕二郎が2号機を使用して、どちらかが出場しないカテゴリーのレースではその自転車を予備の自転車としてピットに準備をして共用しています。



 今大会の主催者側の最初の発表では、会場敷地内にテントが設営できないということがあり、気温の低く雨や雪が予想される会場でどのようにウォームアップできる場所を確保するか、また、裕二郎が出場するジュニアカテゴリーと功太郎が出場するアンダー23カテゴリーのレース間隔が、ジュニアレース終了後僅か10分しかなく、その10分間でいかにしてスタートまでの機材準備(洗車や注油、タイヤ空気圧の調整など)をするかが大きな課題となりました。


 幸い、これまで二度この会場でのレースに参加したことがあることから、会場レイアウトや環境は理解していました。また、二人の身長と股下長さがほぼ同じであり、ポジションの変更をすることなく2台の自転車は同じセッティング


 そして「ピットまでの移動時間」と「招集場所までの移動時間」を考慮し、会場内のどこに車を置き、どのような動線で動けば連続する2つのレースに間に合わすことができるのかを考え、のちに主催者側がテント設置可能としたスペース(P1に近い場所)にはテントを設置せず、ピットと招集場所に近いP2エリアにすることに決めましたが、実はこの時点よりも先に、テントが設置不可のアナウンスがあった時から、テントの代わりとなるトラックをレンタカーで手配をしていました。(悪天候時にはトラックの荷台の中でウォームアップを行う計画として)



 この案は功太郎が過去にベルギー遠征に行った際に、現地でサポートを頂いたランジェットさんがトラック

を使って遠征に同行してもらっていたことがヒント



しかしさすがに愛媛から会場まで片道900kmの道のりを2トントラックに3人乗車は厳しいため、レース会場から1時間ほどの新潟県妙高市にあるレンタカー店で人と荷物を載せ替え、会場入りすることに。


 会場でのウォームアップスペースの確保目途はついたものの、レース中のピット要員不足という問題も残っており、大会3週間ほど前に裕二郎と同じレース時間帯に出場する渡部春雅選手のお母さんと協力してピットサポートをしましょうと話をし、できる準備を進めました。


 そしてその後、全日本選手権の一週間前にマキノ高原で開催されたシクロクロス大会の会場で、ジャイアントチームのピットサポートで来ていた橋本さんとお話しすることがあり、その時は世間話で終わったのですが、レース2日後に「村上家のレースのサポートで手伝えることがあれば言ってね」との連絡を頂きました。


 最初はスタート地点で上着取りをお願いします。と返事をしたのですが、よく考えれば橋本さんは過去に功太郎と一緒にシクロクロス世界選手権に行った日本代表チームメカニックのひとり・・・・

 上着取りなんて役目付けは申し訳なく、数分後には「ピットサポート一緒に入ってください!」とお願いをしました。

 その後は、分刻みのタイムスケジュールで選手とピットクルーが何時何分にどう動くかという綿密なスケジュールを立てて情報共有をしながらレース当日までの準備を行いました。


 話は少しレースから逸れますが、今回泊まった宿は、野沢温泉街にある「若ぎり」さんという旅館

食事もやっているところで、料理はとても美味しく、小さな宿ですが館内もきれいに清掃されていて、スタッフの方もとても親切で、その上価格もリーズナブル。立地も野沢温泉街の中心にあり、徒歩で野沢温泉の外湯を巡ることができて、とても良い宿でした。飯山方面にお泊りの際には超おすすめの宿です。


 そんな宿での美味しい料理のあと、外湯の温泉も堪能し、暖かい部屋でしっかりと睡眠をとり、いよいよレース当日を迎えました。


 会場入りしてすぐにアップと機材の準備をし、ピットでお手伝いを頂く強力助っ人サポーターの橋本さんと打ち合わせ。高圧洗浄機も準備してもらい、ジュニアレース後の洗車対策も完璧です。


 レース当日の朝の時間の流れは本当に早く、あっという間にジュニアのレース開始時間


 連覇を狙う裕二郎はスタートから安定した走りを見せるも、途中ピットで交換した1号機のサドルが走行中に下を向くというトラブル発生

 どうやら1号機にはカーボンシートレールのサドルを使っていたことから、シートポストのやぐら部の形とカーボンレールの相性が悪く、乗り降りの際に動いてしまったようである。

 増し締めしても具合が悪いため、サドルのみの交換も考えたが、時間短縮のため2号機で走っている間にピットでサドルをセット済みのシートポストごと交換を済ませ問題なくクリア

 ちなみにピットにこのほか準備していたものは、スペアタイヤ2セット、シューズ、チェーンでしたが、これらは使うことはありませんでした。


 裕二郎のジュニアレースは出場者も少なく、ピットの洗車場がそれほど混むことはありませんでしたが、それでも1周走れば瞬く間に泥だらけになり、最低でも1周ごとの洗車は必要な状況でした。

 ピット脇に主催者が準備してくれている洗車スペースで、レース前半に洗車待ちをしていた時のこと、丁寧に時間をかけて洗車する方がいて、すぐ後ろでじっと待っていたのですが、洗車が終わるとピットの方向ではなくコースの外に・・・・・。もしかして既にレースが終了した別カテゴリーの選手?この洗車機はレース中の機材のみ洗車が許可されているはずなのにね。



 このほか、ピットでの主催者が用意した洗車機の使用方法については、アンダー23カテゴリーでも4~5人が待っている状況で洗車時間をかけ過ぎている人が多く、もう少しレースの状況を見て短時間で洗車をしてほしいものだと感じました。


 シートの角度ずれという小さなトラブルはあったものの、裕二郎のレースは無事に優勝という形で終了し、ここから10分間で功太郎のスタートまでの準備をしなければならないという勝負の時間がやってきました。


 一度ピットから駐車場に戻り、2台の自転車の洗車と注油をスタッフが全力で行います。裕二郎の表彰式を見る時間なんて全くなし。


 そして何とか功太郎のアンダー23カテゴリーの招集時間に間に合わせることができ、1号機で送り出したあと、2号機を持って再びピットに



 あとは無事にレースが終了することを祈るのみだが、スタート後最初の泥区間で功太郎が落車をし、ほぼ最後尾に近い位置から追い上げをする波乱の展開になってしまう。



 元々スタートがあまり得意ではない功太郎なのだが、今回はスタート直後に左右ともペダルからシューズのクリート(固定金具)が外れてしまい、先頭から少し離れ、追走を余儀なくされて攻めた結果、泥区間で落車をしてしまった模様。


 落車の影響で左レバーが内側に大きく曲がったため、最初のピットで早速バイク交換をし、「まだまだレースはこれからだぞ!お前ならいける!」と送り出す。

 左レバーが大きく内側に向いた1号機は何とか修正でき、ブレーキの利きも問題なく、このままレースは続行できる状態であった。




 タイヤにまとわりつく泥は時間とともにひどくなり、ジュニアに比べて出場選手が多いこのカテゴリーは2台用意している洗車機の待ち時間が長く、半周ごとにバイク交換をしたいところであるが、1周に一度交換ができるかどうかという状況



 そして功太郎は先頭の選手と1分以上あった差を埋めるべく、ただひたすらに前を追う走りを見せるが、最後は2位でのフィニッシュとなりました。



 本人は相当に悔しい思いはあると思いますが、これもまた経験

 この出来事がこれからのもっと大切なレースに生かされるはずと信じています。


 今回ピットに入ってもらった橋本さんには本当に助けられました。

今思うと、橋本さんの助けがなければ絶対にこの2つのレースでこの結果を残すことはできていなかったと思います。あらためて感謝申し上げます。

 また、渡部家にも前日の試走から当日と大変お世話になりました。昨年に続き、仲良くアベック優勝できてとても嬉しく思います。



 これまで所帯のあるチームには属さず、ファミリーチームとしてやってきましたが、いつも大事な時には誰かが救いの手を差し伸べて頂き、特に今回はワークスチームのサポートに匹敵する環境でレースができたのではないかと思います。


 最後に、今大会の開催にあたり、ご尽力いただいたすべての方に感謝しますと共に、今後も息子たちには支えてくれる全ての方に感謝の気持ちを忘れずレースに取り組んでほしいものと切に願って今回の遠征の締めくくりとしたいと思います。


 今後も皆様からの応援のほどよろしくお願いします。


※写真撮影 阿部晶一さん

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